平成19年度報告







調査場所 津市丸の内23−1 お城公園
調査日 6月23日
調査樹種 イチョウ
担当樹木医 坂口卓也、浦口良太
依頼内容 お城公園内にあるイチョウの樹幹腐朽による倒木診断と対策について今後どうしたらよいか。
調査・診断結果 イチョウを調査して、折損が確認され時期は不明であるが、その傷口から普及が進行根元までに腐朽開口しているのが確認された。折損した付近から新たに主幹が双幹状に成立していた。
樹高は低く、周囲樹木の被覆状況から直接強い風圧を受けにくく、樹幹が大きく揺れて倒木する危険性が少ないと判断した。
 
 


調査場所 津市久居戸木町 敏太神社
調査日 6月24日
調査樹種 シイノキ
担当樹木医 坂口卓也、浦口良太
依頼内容 敏太神社境内林のシイノキ類が、隣接する住宅団地側への倒木の危険性の有無と伐採の必要性があるかどうか。
調査・診断結果 住宅団地の開発は、神社境内林に沿っており、樹木はシイノキに限らず伐採などにより開放され、明るくなった方向に樹冠を拡張していっているのを確認した。樹幹下部はカミキリムシ類の加害を受けており、風向きによっては倒木の危険性はあり、今度徐々にその危険性は高まっていくことは避けられないことが診断された。





調査場所 松阪市嬉野小原町1839 
調査日 9月1日
調査樹種 ゴヨウマツ
担当樹木医 秦広志、浦口良太
依頼内容 樹齢200年を経過しているゴヨウマツは、永年地域のシンボルとして親しまれてきていたが、近年その生育状況に変化が表れてきているので、樹木の診断と改善案を助言してほしい。
調査・診断結果 調査して、主幹には大枝の部分から開口部があり、内部は完全に腐朽し、空洞化が確認された。主幹の針葉は葉色、葉量ともに衰退気味であった。
ゴヨウマツの成立する境内は永年、参拝者の踏圧と敷砂利の繰り返しで地表面から30cmまでスコップでは掘れないほど堅く締まっていた。
衰退原因の土壌を土壌改良をし、その区域には立ち入らないように、柵などを張る。
マツ材線虫病の予防をするなどの指導をした。





調査場所 名張市中町
調査日 9月5日
調査樹種 クロマツ
担当樹木医 大石 浩
依頼内容 初瀬街道沿いに成立するクロマツの調子が悪くなってきたように感じる。
調査・診断結果 樹冠上層の針葉の樹勢は旺盛であったが、下層部の枝の旧針葉部にやや褐色がかった兆候があり林業研究所において、ベールマン法にてちょうさしたところ、マツノザイセンチュウが少量検出された。





調査場所 伊賀市広瀬 広徳寺
調査日 9月17日
調査樹種 ウメ
担当樹木医 森田由一、石黒秀明
依頼内容 樹木の現状診断とアドバイス
調査・診断結果 調査して幹の空洞化が確認されて下側部分には倒壊防止の支柱が設置されていた。2つあるうちの1つの大枝が、ごくわずかに葉を残すだけであってほとんどが枯死していた。長年の踏圧により土壌の固結化が進み、根が窒息して枝の枯死が進展したと思われた。
そのことから、枯れ枝および腐朽部の適切な除去、土壌改良、踏圧防止柵の作製などの指導をした。





調査場所 御浜町引作
調査日 10月6日
調査樹種 クスほか
担当樹木医 浦口良太、玉野隆、坂口卓也
依頼内容 県指定天然記念物「引作の大クス」の大枝の倒壊に伴う修復および残存樹木の適切な保存方法と倒壊した大枝の処理方法について今後どうしたらよいか。
調査・診断結果 調査して、樹齢を重ねている割には樹勢は旺盛で、このまま推移しても台風被害などの予測できないことが起こらない限り5〜10年で衰退することは考えられないと推測された。折損した幹は横方向に長く伸び、根元部分が空洞化して支持力が低下したため、幹の自重に耐えられなくなったと推察された。
そのことから、樹冠がが大きく扁奇しているため、樹幹バランスのための枝の剪定、折損部と腐朽の防止を指導した。





調査場所 多気郡大台町久豆 大淵寺
調査日 10月10日
調査樹種 スダジイ
担当樹木医 浦口良太、玉野隆
依頼内容 枝先の枯れが進んでおり、折損落下の心配がある。全体的に樹勢が衰退しているようにも見えるが、樹勢を回復するために今後、どのような処置をしたらよいか。
調査・診断結果 幹には樹勢衰退の原因は見られなかったが、樹冠上部には、枝先の枯れが多く見られ、小枝や葉の量も少なくなっている。今後この枝枯れが進行していけば枝の落下の危険があると推察された。
樹皮下に腐朽も確認された。
スダジイの生育する墓地周辺は養分の乏しい土壌で踏圧により固結していた。
折損、落下の危険性のある枯れ枝の剪定、除去。切除後の切断面は後に腐朽が入らないように平滑にし殺菌癒合材を塗布する必要がある。樹勢回復のため、土壌改良などの指導をした。





調査場所 伊勢市朝熊字鴨谷 県営サンアリーナ
調査日 11月2日
調査樹種 レンギョウ、ユキヤナギ、ドウダンツツジ、サルスベリ
担当樹木医 坂口卓也、大石浩
依頼内容 植栽した樹木の景観保持について今後どう管理したらよいか。
調査・診断結果 県営サンアリーナ一帯は低地の湿田を埋め立てた基盤で、土壌の排水性が悪く、樹木は根枯れをおこしやすい。土壌中には腐植が乏しいため、花木の生育には適さないことが確認された。創設後に多くの花や樹木が植栽されたがほとんどが不成績だった。
土壌が膨軟になる程度のバーク堆肥、根株先に盛り土を行うなどの指導をした。
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調査場所 亀山市川合町1286番地 東野公園
調査日 1月25日
調査樹種 クスノキ、シイ類、ケヤキ、ソメイヨシノなど
担当樹木医 児玉重信、小池勇
依頼内容 東野公園の樹木の生育環境診断、剪定管理を今後どのようにしたらよいか。
調査・診断結果 緑地には約50種の樹木が全面ほぼ全域に植栽されていた。一部樹木は病害虫の被害木が見受けられるものの、概ね健全に生育していた。所々、樹冠が触れ合うなどの過密な個所も見られた。冬季に樹木の管理剪定が行われたが、枯れ枝の未処理、枝下高、枝の切断位置等の問題が確認された。
そのことから、樹幹の触れ合っている過密な場所の間引き剪定、枯れ枝処理、剪定管理方法の指導をした。





調査場所 津市丸の内 津お城公園
調査日 2月6日
調査樹種 クロマツ、ケヤキ、クスノキ、シイ、カシ類
担当樹木医 坂口卓也、児玉重信
依頼内容 多目的の利用を目指し、開放感のある緑豊かな公園、樹木観察などのできる憩いの広場とするため、樹木の生育状況診断、樹木管理方法を今後どのようにしていけばよいか。
調査・診断結果 公園造成当初に、土地が狭いのにも関わらず多種多様な樹木を植栽し、その後の管理不足により樹勢旺盛な樹種に被圧された下層部の樹木の樹形の変形、衰退の一途をたどっていたのを確認した。道路沿いのクロマツは架線と接触しないか心配であった。
そのことから、クロマツの樹高を低く抑える、常緑広葉樹を適度に伐採、剪定して下層部に陽光を確保、衰退樹木には施肥などの指導を行った。





調査場所 津市丸の内 津お城公園
調査日 2月7日
調査樹種 公園樹木全体
担当樹木医 坂口卓也、児玉重信
依頼内容 県指定史跡保存計画策定のため、公園全体の樹木の生育状況、及び今後の管理方法について今後どのようにしたらよいか。
調査・診断結果 日本庭園は良好に管理されており、生育状況はおおむね正常であった。噴水を中心とする洋風庭園は常緑広葉樹が過密状態になったいた。枯損木も確認された。
そのことから枯損木、今後石垣を破壊する恐れのある樹木の伐採、自然に介入してきた樹木の除去、適度な剪定などを指導した。





調査場所 度会郡南伊勢町泉 泉川堤防道路沿い
調査日 2月19日
調査樹種 ソメイヨシノ
担当樹木医 浦口良太、坂口卓也
依頼内容 ソメイヨシノ並木は植えられてから60年程経過し近年枯れ枝が目立つようになり、コケが付着し、開花が少なくなっているようである。今度、回復、維持していくにはどのような対策をしたらよいか。
調査・診断結果 幹や枝にウメノキゴケが多く付着しており、幹や大枝の樹皮を覆いつくすほどの着生は皮目による呼吸を妨げることになり樹勢に少なからず影響が出ていると推察された。他にもコフキサルノコシカケ、てんぐ巣病も確認された。ソメイヨシノは一般的に60〜70年ほどで衰退していく場合が多くこの並木もその樹齢と土壌環境の悪化によって衰弱、開花の減少も推察できる。
これらのことより、枯れ枝、てんぐ巣病に侵された枝の撤去、樹冠のバランスも考慮した剪定する枝の切除位置の決定、切断面に殺菌癒合剤の塗布、施肥、ウメノキゴケの除去などの指導をした。





調査場所 員弁町東員町 山田溜公園
調査日 3月11日
調査樹種 イヌナシ
担当樹木医 児玉重信、坂口卓也
依頼内容 イヌナシに枝枯れが目立ち始め、樹形が崩れてきた。樹勢を回復させるためにはどうしたらよいか。
調査・診断結果 三重県下にも数か所でイヌナシは自制しており、いずれも水辺あるいは湿潤地に生育している。この山田溜公園内のイヌナシも住宅団地が構成されるまでは、広陵地の小渓流沿いに自生していたものと推察される。しかし当時とは様変わりし、陽光を受ける景観の中で生息しており、イヌナシには過度の水ストレスが加わっていると考えられた。この数年の猛暑の影響も大きく受けていた。団地との境界斜面にはカイズカイブキが数本植栽されており、これを中間奇主とする赤星病に羅病していることも樹勢の衰退にも影響していると考えられた。
それらのことより、境界斜面に植栽されているカイズカイブキの伐採、樹冠内の通気性の改善のため枯れ枝の切除、周辺の樹木の伐採、イヌナシへの灌水するパイプの設定などの指導をした。





調査場所 員弁郡東員町城山1丁目
調査日 3月12日
調査樹種 トウインヤエヤマザクラ
担当樹木医 児玉重信、鈴木耕作
依頼内容 枯れ枝等が発生して樹勢が衰退傾向にあるため今後どのようにしたらよいか。
調査・診断結果 ヤエヤマザクラは低丘陵地の小渓流の谷頭に位置し株元から2m離れたところに道路が開設され、小渓流からの湧水がせき止められた状態であった。降雨時は小さな溜め池が出現し、サクラの株周りの土壌は湿潤な状態になる。このため、根系の成長は妨げられて、枝は衰退していると考えられた。湿潤地にはほかの樹木がサクラを被圧していた。サクラの幹や枝にはコケ類の付着も確認された。
このことから、サクラを被圧している周辺樹木を伐採、土壌改良、コケ類の除去などの指導を行った。





調査場所 いなべ市藤原町坂本 聖宝寺
調査日 5月16日
調査樹種 カエデほか
担当樹木医 坂口卓也、児玉重信
依頼内容 カエデの枝枯れ症状が見られ、ほかの樹木についても樹勢診断依頼があった。
調査・診断結果 カエデの樹齢は80年生で枝枯れは樹冠の木末と下部に確認された。地際部は過湿条件の指標であるコケ類の繁殖が多く確認され、根系を調べてみると腐敗した根が確認され、土壌に問題もあると考えられた。周辺樹木の被圧も影響していた。
他の樹木も枝枯れ、害虫の食害被害も確認された。
このことから、枯れ枝剪定、土壌改良、枝抜き剪定なの度指導を行った。

   
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