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令和4年度 樹木健康診断・調査

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調査時期 令和4年5月1日
調査場所 鈴鹿市木田町2542 木田山光明寺境内
対象樹木 木田山光明寺のボタイジュ
依頼内容 樹木全体に薄茶色の大きな斑点が発生しており,病気ではないかと心配している。樹木の中心が空洞化しているので対処をご教授いただきたい。
結果 依頼内容の空洞は令和2年7月に樹木医により診断された経緯があり、当時はコンクリートが充填されていましたが、その際の助言により、現在は取り除かれています。樹木にとってはこの状態のほうがよく、空洞部に対する処置はこれ以上なにもないと伝えました。樹木全体の薄茶色の斑点は地衣類でした。樹勢衰弱の可能性も否定できませんので、経過観察としました。砂利敷の区域の表土が踏圧状況にあるようなので、2か所で土壌調査を実施しました。調査結果は深さ20cm付近まで砂利が繰り返し敷かれ、踏圧の影響で土壌が固結状態になっておりました。これは早急に改善する必要があると判断致しました。
担当者 石黒秀明・鈴木孝明・他2人
調査時期 令和4年5月19日
調査場所 亀山市両尾町2193 野登ルンビニ園
対象樹木 野登ルンビニ園のどんぐり(アラカシ)
依頼内容 葉が黒く枯れてくる。移植して約13年になるが、ここ数年は春になると葉が落ちて新芽が出てきている。
結果 アラカシは厚さ50㎝程度転圧された園庭に、平均高さが35㎝の楕円形(4.4×3.6m)の植裁桝に高植えされている。樹高は6.3mで4本の幹に分かれ、枝張りはほぼ植裁桝と同程度である。根元に盛土されていた山砂が雨水で流亡し、根が広範囲にむき出しになっている。アラカシの樹冠南側で新葉の枯れが目立つが、数年前から同様の症状が始まっていた模様。衰弱の主因は表土が流亡して根が露出して、狭い植え桝内で夏季の高温と乾燥により根が衰弱・枯死したものと考えられる。植裁時に転圧された園庭表土を破壊しておけば、現状の状況は起こらなかったと思われる。転圧層の破壊と植え桝内の土壌改良が必要。
担当者 石黒秀明・奥田清貴・鈴木孝明
調査時期 令和4年6月1日
調査場所 伊勢市楠部町地内
対象樹木 ソメイヨシノ(3本)
依頼内容 木の幹が腐ったような状態であり、倒木の危険がある。
結果 楠部公園の北側に3本のソメイヨシノ(以下、サクラ)が並んで生育している。これらのサクラは、その上空を通る電線に枝が掛かっているため、電力会社による枝の無秩序な切除が繰り返し行わていたようである。この影響から樹冠上部は梢端の枯れが目立つ状態であった。また主幹や太枝にこうやく病などの腐朽菌も見られ、折損の危険性も危惧された。また両端の2本のサクラの根元にはベッコウタケも確認され、腐朽は進行していると考えられた。これらの危険性を下げるには、枯死枝を外すと共に、一度、樹高を大きく下げる必要がある。これらの作業は、専門家による作業、または指導のもと行われるべきである。
担当者 浅野卓磨、大石浩、奥田清貴、浦口良太、石黒秀明、鈴木孝明
調査時期 令和4年7月20日
調査場所 鈴鹿市桜島町1-11-11
対象樹木 腰折れの松(クロマツ)
依頼内容 桜島町集会所入り口にあるクロマツは江戸後期から生育している。このマツが3年前から針葉の半分が褐変して枯れてしまった。残りの針葉は濃緑で生育しているが、幹にオレンジ色のキノコが生えてきており、年々衰弱している。
結果 クロマツの主幹は西側に30度傾斜し、地上3mで3本に分岐しています。東側の枝は枯れており、折損落下の恐れがあります。北側及び西側へ伸びた枝にも腐朽が見受けられます。5年前に粒状の除草剤を散布したことと、その後の強剪定が衰弱と枯れの原因と判断されました。西側に伸びた枝基部の腐朽は上部まで拡大しており、樹勢が回復したとしても強度不足による倒壊の危険があるため、支柱補強が必要です。生きている枝に発生している吸汁性害虫の駆除を行い、根元周囲を踏まない区域を設け、樹勢回復を行う必要があります。
担当者 中村昌幸・鈴木孝明
調査時期 令和4年8月9日
調査場所 津市藤方 結城園公園内
対象樹木 ソメイヨシノ(8本)
依頼内容 隣接する民家にサクラの根が侵入し家屋の基礎を押し上げている。除去する予定だが、サクラにどのような影響があるか。
結果  公園と民家の境界に8本のサクラが1列に植栽されており、その根が家屋に侵入し基礎を押し上げていた。この恨は除去し、さらに今後、根が侵入しない対策を施すことが必須であった。しかし、サクラは大きく傾いており、根を切断すると倒木の危険があり、別の問題が発生すると考えられた。それらの危険性があることを説明した上で対処方法を説明した。
 また、サクラは腐朽が多く、さらにべっこうたけ病に感染していることが確認され、健全とは言えない状態であったことから、すべてのサクラを伐採し、改植するという考え方もあると指導した。
担当者 柳田国男・石黒秀明・浅野卓磨・鈴木孝明
調査時期 令和4年9月9日
調査場所 津市出雲島貫町
対象樹木 津市指定天然記念物 円福寺のソテツ
依頼内容 ソテツ新芽の葉枯れ症状
結果 樹齢400年以上とされる円福寺のソテツは、幹が14本あり、最大樹高5mある。東西8m、南北6mに株を広げている。自然石の縁石に囲われて境内地より20~30cm盛られた場所に生育している。土壌は砂壌土であるが、雲出川に近いため地下水位が高いのか、根元にはコケ類が繁茂し、やや過湿気味の土壌環境にある。新葉の先端に奇形、枯れが認められるが、病虫害とは考えにくい。今年春以降の異常高温等による異常気象が原因かと考えられる。このほかには特に異常は見られず、樹勢も良好と判断された。
担当者 浦口良太、奥田清貴、石黒秀明、浅野琢磨、鈴木孝明
調査時期 令和4年9月30日
調査場所 大紀町野原 旧七保小学校跡地
対象樹木 七保のオハツキイチョウ
依頼内容 ② イチョウは三重県指定の天然記念物で地元住民に親しまれているが、樹齢約350年の老木であり地元住民から心配の声が上がっている。
結果 葉が一部が矮小化しては居るが、樹勢は概ね良好と判断された。しかし、以前の大枝の剪定痕から勢いよく伸びた枝に銀杏が多数着生しており、その自重で折損してる箇所がある。事故等を未然に防ぐためにも、危険と判断される枝は整枝する。また固結した土壌の改善も有効であると判断した。
担当者 浅野卓磨、玉野隆、奥田清貴、石黒秀明、大石浩、鈴木孝明
調査時期 令和4年9月30日
調査場所 大紀町野原 旧七保小学校跡地
対象樹木 モミジバスズカケノキ
依頼内容 モミジバスズカケノキは葉の色が変色している状態である。原因は何か。
結果 モミジバスズカケノキの葉の変色の原因は、プラタナスグンバイによる被害であった。これはあまり問題にならないが、当該樹木の周辺の枯死木の切株に大量のナラタケモドキの子実体が確認された。当該樹木の感染していると考えられた。この病害は周辺に感染するために、当該樹木を伐採し、土壌の病原菌を駆除する必要があると説明した。
担当者 浅野卓磨、玉野隆、奥田清貴、石黒秀明、大石浩、鈴木孝明
調査時期 令和4年10月11日
調査場所 四日市市川尻町
対象樹木 ソメイヨシノ
依頼内容 並木について伐採木の選別、維持方法や必要な措置について教えてほしい。
結果 対象の桜並木は明治100年を記念して、昭和43年(1968)に植えられたと伝わっている。桜は市道の西側の路肩上部に植栽されており、小さい水路が並行して流れているが、路肩の土壌が流されてゆるい傾斜地となっている。若い個体を除くと幹や大枝の多くが枯損しており、樹形が乱れてるものが多く、並木全体が衰弱している。手で押すと揺れる個体もあり、維持、再生の前に枯損枝や危険木の除去が必要と診断された。また、土壌は簡易土壌検査の結果、特に問題はなかったが、土壌がこれ以上水路側に流れないように対策を行い、土壌改良などで樹勢を回復させるよう指導した。また除草剤の使用では刈払いを勧めた。
担当者 大石浩・中村昌幸・石黒秀明・鈴木孝明
調査時期 令和4年10月11日
調査場所 四日市市川原田町
対象樹木 ソメイヨシノ
依頼内容 並木について伐採木の選別、維持方法や必要な措置について教えてほしい。
結果 対象の桜並木は谷川右岸堤防に150mほどの長さで植栽されており、樹齢は古いもので80年ほどと伝わっている。花付はまずまずの様だが、幹や大枝の枯損が多く発生しており、樹形が乱れている。株立ちや低い位置で分かれている幹が多いことから、生育に必要な土壌の深さが不足していると見受けられた。管理をするにあたり、樹を特定するため、ナンバリングと簡易毎木調査を行い、並木の状況を把握することを勧めた。また、維持再生のために落枝や倒伏する可能性がある危険な幹や枝を除去し、施肥(寒肥)を行うことを指示した。
担当者 大石浩・中村昌幸・石黒秀明・鈴木孝明
調査時期 令和4年10月19日
調査場所 津市一志町高野 津市立一志こども園
対象樹木 一志こども園の樹木(メタセコイア、エノキ、クスノキ、クヌギ)
依頼内容 園庭の樹木の枝等が強風で近隣住宅に吹き飛ばないか、診断してほしい。
結果 園庭のメタセコイアは枝が伸び過ぎているが、樹勢は良い。その樹下に自然生えのエノキがあり被圧され、幹に地衣類が繁茂している。やや離れてクスノキが石段上に植裁されているが、根が詰まり衰退している。地際部には高さ1m、幅40cmの大きさで材部が露出して、空洞化が進んでいる。樹冠上部には枯れ枝が何箇所か見られ、落下の恐れがあり、早急に切除する必要がある。衰弱が進んでおり、継続的に強度な剪定が必要になることから伐採も検討する。クヌギは健全で異常はないが、スズメバチの飛来が心配されており、捕獲器が設置されている。
担当者 奥田清貴、広瀬信三
調査時期 令和4年11月8日
調査場所 三重県度会郡南伊勢町宿浦
対象樹木 宿浦漁協前のエノキ ヨノミノキ
依頼内容 一部が腐ってきている状況で、今後の必要な処置について。
結果 調査対象のエノキは樹高約8m、胸高周囲3.1m、根元直径3.7m。枝張りは東5.0m、南1.8m、西2.0m、北4.0m。幹の北側に地上から0.5mあたりから高さ1.0m、最大幅0.4m、深さは最大で0.5mの腐朽がある。また根元や幹の上部にも複数の開口部がみられる。エノキはキノコ栽培に利用されるほど木材腐朽菌に侵されやすく、腐りやすい樹種である。特に東側の幹は道路に大きく張り出しており、幹に腐朽の開口部がみられるため、幹折れや落枝の可能性がある危険な個所を取り除く必要がある。
担当者 大石浩、浅野卓磨、奥田清貴、鈴木孝明
調査時期 令和4年11月26日
調査場所 松阪市飯高町森1628番地
対象樹木 ゴヨウマツ (町指定天然記念物)
依頼内容 地上から2~3m程の芯が空洞になっており、倒木の危険性が有る。今後の対処について専門的な観点から樹木医による診断を依頼したい。
結果 診断対象のゴヨウマツは東漸寺境内に生育し、樹高は約18m、幹周囲3.33mで、主幹は1.7m程の高さで2本の太枝が分枝し、さらに3m程の高さで6本に分枝した樹形となる。6本に分枝した内の1本は完全に枯死した状態であった。葉量が少ない、葉色が薄い、枯枝が多数みられることから樹勢の衰弱が伺われた。根元周囲の細根の発生状況 、共生菌の有無などの調査したところ、細根は確認されたが、共生菌は確認できなかった。土壌の物理性の調査は問題はないと判断されたが、土壌の化学性調査は、当該樹木の生長に適さない数値を示す部分があった。これは、これは共生菌の発達を阻害した要因と考えられた。また幹内部の空洞の有無を、精密診断機器(レジストグラフ)で調査したが、空洞・腐朽はほとんど認められなかった。よって、腐朽が原因で倒木することは考えにくいと判断された。
担当者 石黒秀明・塚本剛正・奥田清貴・鈴木孝明
調査時期 令和4年11月30日
調査場所 桑名市長島町小島
対象樹木 八剱神社のスダジイ
依頼内容 長島北部に、八剱神社の創建(1793年)以前からあったものと推定されるスダジイの 樹木健康診断の依頼。
結果 当該樹木は、2019年の台風時に枝が折損したこと、また、2022年春には延びた枝が近隣の建屋にまで枝が延びたことから大きく枝を剪定され樹形は崩壊していた。この強度な剪定により、葉量は少なくまた腐朽部位も認められ、樹勢は衰弱傾向にあると考えられた。80㎝の位置で樹内部の腐朽状況を調べるためにレジストグラフ(内部腐朽診断機器)を用いて調査を行ったところ、空洞部分は確認されたものの、直ぐに倒木へ繋がるようなことは無いと判断された。今後は、現在の芽吹きを大切に維持するように努め、今後の推移を見守っていくことが得策と判断した。
担当者 大石 浩、石黒秀明、奥田清貴、齋藤靖浩
調査時期 令和4年11月30日
調査場所 桑名市長島町西川
対象樹木 楠(くすのき)神社のクスノキ
依頼内容 長島北部の楠神社にある、朝鮮出兵の頃に伐採されたとされるクスノキのひこばえが成長した古木がある。外観からは分からないが健康状態に不安があるため調査依頼を行う。
結果 調査対象のクスノキにはいわれがある。豊臣秀吉が朝鮮出兵の際にこの神社の御神木を切り、その材で船を造った。そのご神木の切り株からのひこばえが、現在のクスノキであるという。クスノキは2本あり、それぞれが途中から2本の幹に分かれる樹形となっており、周囲の樹木と競合し光環境は乏しい状態にあるためか、さほど太い樹木ではない。朝鮮出兵(文禄の役)とすると400年以上が経過していることになるが、とてもではないが、それほどの樹齢であるとは見受けられなかった。そこで、直径65cmの幹の年輪を成長錐を用いて調査したところ、年輪は437年余りが読み取れた。年輪には偽年輪というものが存在するが、それを加味しても400年を超えている可能性は十分にあると判断した。
担当者 大石 浩、石黒秀明、奥田清貴、齋藤靖浩
調査時期 令和4年12月20日
調査場所 松阪市阪内町
対象樹木 阪内不動堂境内の樹木
依頼内容 境内の3 本の大木が傾いてきており、倒木の危険がある。 阪内不動堂は松阪市指定の名勝であり、地元住民の憩いの場になっている。現在3本 の大木に倒木の危険があることから、今後の対処について、専門的な観点から樹木医 による診断を依頼したい。
結果  診断対象の樹木3本は、阪内不動堂境内の崖下の不動滝の周辺に生育している。それぞれの樹種は、ヒノキ、スダジイ、ツクバネガシである。これらの樹木は傾いているだけではなく、傾いた方向に枝を伸ばしているため、樹木の重心も大きく偏っており、倒木の危険性をより大きくしている。3本の中でも特にツクバネガシは、地際部にオニカワウソタケと思われる子実体が確認され内部の腐朽が進行している可能性もあり、非常に危険な状態である。根元の内部腐朽状況を把握するため、内部腐朽機器診断(レジストグラフ)により調査することが推奨された。  要望が強い本堂への倒木破損事故の防止を図るには、3本ともに伐採することが最適ではあるが、現場の状況から樹木に登攀して吊るし伐りを行う必 要がある。ただ今回のケースでは、作業者が非常に危険にさらされると考えられる。また作業費も多大になると考えられる。  まずは対象木が倒木することを前提に、本堂への被害を防ぐため、ワイヤーなどでブレーシングを行うことを検討すべきである。
担当者 奥田清貴、石黒秀明
調査時期 令和5年1月12日
調査場所 四日市市南小松町1589
対象樹木 中山寺のモッコク(市指定天然記念物)
依頼内容 昨年10月にモッコクの根元にナラタケモドキが生えているのを発見し、菌糸がモッコク全体に広がっているのではないかと懸念している。ならたけもどき病の被害は多犯性で感染すると、樹勢が衰退し枯れ死に至る可能性があり、樹勢が弱り出してからでは手の施しようがないのではと危惧している。
結果 昨年10月に確認された子実体(きのこ)は、組織培養によりナラタケモドキであると確認された(樹木医による)。この時、ナラタケモドキであることは確認されたが、その子実体がモッコクに感染しているかどうかは、その際に調査されなかった。モッコクが感染しているかどうかを調査するために、根元周囲を掘削し根が感染しているか否かを調査したところ、明かにナラタケモドキ菌に羅病しているという根は発見されなかった。そこで少しでも感染が疑われる根を採取し、簡易的な培養を行ったところ、ナラタケモドキの菌糸に似た形状の菌糸が確認された。  ①昨年の子実体は間違いなくナラタケモドキであったこと。②ナラタケモドキが発見された場所に木本はモッコクしか存在しなかったこと。③ナラタケモドキに似た菌糸が確認されたこと。などの状況証拠から、当該樹木はならたけもどき病に感染していると断定した。状況から、感染初期であると考えられることから、拮抗菌資材を利用した防除策があることを提案した。
担当者 浅野 卓磨、石黒 秀明、斎藤 靖浩

                                      令和4年10月に確認された子実体
調査時期 令和5年1月30日
調査場所 北牟婁郡紀北町引本浦191番地2(旧引本幼稚園内)
対象樹木 タイサンボク(町指定天然記念物)
依頼内容 樹齢100年以上の高木で、昔から剪定もせず、肥料等も与えていない。最近は枝が落ちてきたりして危険な状況。診断をお願いしたい。
結果  診断対象のタイサンボクは、県内で最大の大きさであり、旧引本幼稚園の園庭のほぼ中央に孤立木として生育している。樹齢は100年を超えていると推測される。葉は小さく、樹冠には枝枯れが散見され、一見にして樹勢衰退が伺われた。
 当該樹木の根元周辺の任意の位置に竪穴を試掘したところ、非常に硬く、人力では36cmしか掘ることができなかった。また、地中に根はほとんど見られず、多くの根が地表面付近に分布していた。 当該樹木は、幼稚園の園庭(およそ40年前)となる前からこの場所に生育していたが、園庭造成の際に周辺を盛土され、さらに締め固められるものと考えられる。また、園児から毎日受ける踏圧などにより、土壌は更に締め固まり、地中の根は健全な呼吸が出来ず、結果、健全な成長が出来なくなり、徐々に衰弱したものと考えられた。
 樹勢を回復させるためには、まず、地表面に多く分布する根を護ることが先決である。夏の乾燥から根を護るために、刈草などをマルチングすることが有効である。しかし、それだけでは根本的な解決にはならない。強固に固結した土壌を割り、スポット的で良いので土壌改良を施す必要があると指導した。
担当者 柳田 国男、石黒 秀明、奥田 清貴
調査時期 令和5年3月4日
調査場所 三重県立明野高校
対象樹木 クロマツ
依頼内容 クロマツに葉枯が発生し、安全対策の要望があることから、 今後の方針を見極めるための診断依頼
結果 このクロマツは今年2月頃より急激に針葉が変色し、調査時は殆どの葉が茶褐色に変色していた。樹脂の状況を調べたが、滲出は全く確認できず、このマツはすでに枯死しているものと判断した。材片を採取し、ベールマン法により検査したところ、いずれの材片からもマツノザイセンチュウが確認された。この事からこのクロマツの枯死原因はマツ材線虫病であると判断した。学内の多数のクロマツにマツモグリカイガラムシの被害が見られ、対象のクロマツにもフラッギングが多数確認され、また枝葉が疎であったことから、マツモグリカイガラムシの加害も激しかったと考えられる。
担当者 浅野卓磨・大石浩・石黒秀明